赤い公園

変な時間に目が覚めて、ぼーっとパソコンいじる時間が続いたけど、突然思い立って静かに家を出た。イヤホンからは赤い公園が流れてて、湿っぽい夏の早朝の空気がかえって心地よくて、楽しくて立ち漕ぎした。赤い公園のことは、津野米咲が自殺したニュースを中学生のときに見てから知っていた。それから何曲か聴いたりしたけどあんまりハマらなくて、家の近くに赤い公園のメンバーが寄贈したベンチがあることも知ってたけど、俺にとって特別な存在という訳ではなかった。でも、俺は衝動を大切なしてるから今朝は自転車を漕いだ。ベンチのある施設に着いて、薄暗いのに加えて度数の合ってないコンタクトを入れているから、見つけれるか不安だったけど、真っ赤なおかげですぐに目についた。ベンチには赤い公園の文字が掘られてた。寝転んでみたら空が薄暗かった。俺がここに来た証を残したくて、なにか地面に書こうと思ったけど、思いつかないから津野さんの似顔絵を落ちてた枝で描いた。全然似てなかった。恥ずかしくなって逃げるよう自転車を停めた場所に戻ろうとしたら、足元の小さいくすんだシロツメクサが目について、2、3本抜いてベンチに供えた。俺があのベンチに行ったことを含めて、こんなの誰のためでもないし完全に俺の自己満足、エゴだ。でも、そんなの関係ないんだよ。帰り道、夜の公園をリピートしながらなんとなく両手をハンドルから離してみたら、手放し運転初めてできた。嬉しかった。それだけで、なんだか、家を飛び出てよかったな、と思った。