好きなコはできた

今日も学校を休んじゃった。

最近はお昼過ぎに登校して出席だけもらいにいくような日々だった。早退して喫茶店で定食を食べたり、似たような状態の先輩と話したり、教室の隅で本読んでたり。

そういや数日後からもう中間考査なんだよな。ほとんど意識してなかったし意識したこともない。俺は生まれてこの方勉強したことないし。

だから今日なんか、一人で部屋にいて、寝る感じでもなくて、スマホだけ手の内にあって何するかって言ったらオナニーしちゃうんだよな。もう、射精した後の虚しさや寂しさにはうんざりしてるし、こんなに意味のないこと早く辞めたいと思ってるんだけど、だめだね。あとの自分に任せ続ける人生。永遠に向き合わないし治そうとしないから。

それでさ3回目のオナニーをクラスメイトで済ませてしまったのよ。射精してからは自分の醜さと情けなさと、申し訳なさでどうしたらいいか分からなくなった。俺に恋とか愛とかそういうものは無理かもしれないって思った。でも、クラスの写真に写ってるあの子の笑顔とか、普段から横目でみてて、素敵だなー!って思うような子のこと見てたら天使じゃん、って。こんなに醜くてごめんなさい。今まで、自分の性欲で人を傷つけたり迷惑をかけたり、俺から見た世界自体を汚し続けてたけど、変態だけど、少しだけ、少しだけは本当の純な気持ちがあるはずなんです。もうオナニーとかセックスとかキスとかペッティングとか、いいから、あなたを俺のジョークで笑わせてみたい。性欲から遠く離れた場所であなたの髪を梳かしたい。あなたの笑った時に無くなっちゃう目が好き。自分のためじゃないって今の俺には断言できないけどもう独りよがりのオナニー野郎からは卒業するから、あなたの白い肌に触れてみたい。あの子の視界に俺はきっと写ってなくて、俺は多分あの子たちを理想系の影を見て、それをダシに感傷に浸ってるだけだ。本当に「好き」がわからなくなっちゃった。自信を持って、誰かを好きになれることが羨ましい。でも、俺決めたよ。教室に当たり前みたいにいる天使たちのために頑張ろと思うよ。情けなくてそんな姿死んでも見せたくないって思い続ける日々になると思うけど、俺は大丈夫だから、大丈夫になれると思うから、今は近くを通り過ぎるのが精一杯だけど、すこしでもあの子たちの笑顔に近づけるように。そう決めるんだ。

相手がいれば さぼらずに済めば そばにいなくても この世にいなくても

俺が今流してる数滴の涙は何よりも醜くて感傷マゾの嘘のものだしさ、自分の性格が悪くて嫌んなっちゃうけど、チラチラあの子の顔見れば胸がキューっとなる瞬間は本当だと思いたい。ずっと、自分を信じてみたかった。俺なんて死んだほうがマシなのは間違いないんだよ。頭でわかってても心がそんなことない俺は価値のある美しい人間だって、そんなわけないのに。清くなりたい。本当の気持ちで生きたいのに。今俺の心は澱んで重くて気持ち悪くて乾いてて塞ぎ込んだまま迷っているような。

もう何も分からなくなったけど、顔を上げた時あの子の笑顔だけがチラッて見えたから、それしかないなら、今は、夜を紛らわせるくらい大きな音でピーズを聴いて、あの子の好きなところを思い出しながら朝を待つのも、悪くないかもよ。 

父ちゃん母ちゃんよろこべ 好きなコができた