オナニー禁止令

夏が本当に憂鬱だ。

街はかんかん照りで、艶やかな肌を大きく出した若者たちが色々なドラマを起こしてると思うと、暗くて臭い、蠅だらけの部屋で俺はひとり苦しくて仕方なくなる。

その1日に意味を持たせようと無理やり映画を観ようとしてるけど、落ち着かなくてどんな体勢で観たらいいか分からないし、液晶もがボロボロで、こんなのなんのためにもなってない。

息ができる時間といえば、日付が変わった頃に家を出て、公園でギターを弾いてるときか、街をゆくあてもなく徘徊している時。チェーン店で朝セットを食べて、明るくなり切る前に、街が動き出す前に、静かに家に帰って何も考えずに眠る。どこからが昨日でどこからが今日か分からない。自分がどれだけの時間を無為に、むしろ、世間から離れるために使ったのか考えるだけで気が遠くなる。

俺は空っぽの身体と心で、いつまでも上辺だけのコミュニケーションを取りながら独り、オナニーし続けるだけなんだろうか。

情けないよ。

最近頭もずっと朦朧としていて、自分が正常な判断をしているのか自信がなくなってきた。

とうとう頭がおかしくなっちゃったかな。

今日、夕方に渋谷でライブがある。

高校生無料だから申し込んだ。

本当に気が重い。

醜い俺が、渋谷なんて街に、しかも同じ趣味を持った人々が集まる場所に行かなきゃならないなんて。苦しくてしょうがないよ。

とりあえず、今日が自分にとって苦しくないように。もう、それだけだよ