ひとりくらいは

今晩もまた、何かが起こることを期待してギターを背負って土手沿いに行ったけど、歌もギターもさっぱりうまくならないし、人が通りがかる度ビクビクして、情け無いったらありゃしないよ。

川の流れる音と、橋の上を走るトラックの音が響いて、俺はこんな場所でひとり何してるんだろうって。いつまで俺は独りでいるんだろうって。ただただ寂しくなって、でも涙なんて出ないから歌ってみるけど、なんか全然気持ちよくないんだよな。

8月も終わって、いよいよ半袖で出るにはちょっと寒い夜だってのに、遠くの方で小さい打ち上げ花火が見えてさ、くだらないって吐き捨てたけど、くだらないのは俺の方だ。

誰か気づいてくれ。俺はここにいるよ。って、夜の多摩川で叫んだって、そんなカッコ悪い話ないよな。俺は人とコミュニケーションするときだってうまく取り繕うこともできないし、どこへ行っても居場所のないまま。このままウロウロし続けるだけなのかな。

学校だって始まったけど、もう、なんかダメかもしれない。このままいったって将来後悔することは分かってるんだよな。でもどうしたらいいかわからないよ。まったく先が見えない。今できることすらしてないからね。これからどうなっちゃうのかな。

でもさ俺だって生きてるんだよ。頭のてっぺんから足の先まで醜い俺だけど、言い訳ばっかで逃げてる俺だけど、工夫してやってるんだよ。気が弱いだけで、誰よりも悪意があって、自分本位で、人からの評価しか頭になくて、優しくなんかないけど、あなたみたいになれたらなって本当は思ってるんだよ。

次、もしこういう夜があったら、何か変われるきっかけを拾うことができたらいいな。